【番外編】苺みるくの秘密
それを悟られたくなくて、顔を見られたくなくて分厚い参考書を顔の前で広げた。
これがあってよかっと思う。
顔を隠す物がもしもなかったら、あたしの醜い嫉妬がバレてしまうから。
「ヤキモチなの?」
「違うわよ……」
「ほんとに?」
「慎、しつこい……」
慎の声が近くで聞こえる。
羽鳥ともコウとも違う慎の声に、ドキドキしてる……。
――ハザッ
参考書を奪われてハッとした時には、慎の顔が目の前にあった。
「知りたいからオレは何度でも聞くよ? しつこい男だって言われても構わない」
睫毛一つ動かさない慎の顔にあたしは釘付け。
3年になってからミルクティ色に戻した慎の髪の毛があたしのおでこを撫でる。
更に距離を縮める慎のメガネが、あたしの鼻の頭にぶつかった。