【番外編】苺みるくの秘密


理知的な瞳をふわりと柔らかく細めて笑う慎が、あたしはとてつもなく好きで。



「……そうね」


いつも通り図書室での時間を共有するという何の変化もないあたしと慎の関係。

そろそろ、あたしだって辛い。

こんなメガネ男、いっそのこと嫌いになってしまおうか。

……絶対に無理なことを考えるあたしはバカすぎるくらいにバカ。



「葉月」

「なに?」

「まだ言ってなかったよね?」


参考書に目を落としながら声をかけてくる慎に、あからさまに不機嫌な態度をとってしまった。

慎はそんなあたしに気づいているんだろうか。


言ってなかったって、もしかして女子に勉強を教えていたことの言い訳でもしたいのかしら?

とか、また可愛げのない考えをしてイライラする。

 

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