【番外編】苺みるくの秘密
「な……なんで……ち…あき…」
「は? お前が先に入るって言ったんだろ?」
「そ、そそ、そうだけど……」
「で、オレはお前が入った後に入ってきたんだけど?」
な……!
そういう意味で聞いたなんて!
卑怯だよぉ……。
千秋は腰にタオルを巻いている。
だけどあたしはすっぽんぽんだ。
「やだ……無理、………出る!」
「却下」
ガクガクしながら身体を隠して言うと千秋は鼻で笑ったのだ。
「目、閉じててやる」
「へ……? な、なに?」
恐る恐る千秋を見上げる。
すると千秋は湯船を顎で示した。
「入れば?」
千秋はそっと目を閉じた。
憎たらしいくらいに端正なその顔を見ながら、あたしは意を決して湯船に飛び込んだのだ。
ドアの前に千秋が居る以上こうするしかなかった。
鬼だ鬼だ鬼だ!
意地悪バカ千秋!
しゅんっ……。