【番外編】苺みるくの秘密
そしてまたもや腰の辺りを持たれた気がして、もう何がなんだかわからなかった。
だけどあたしがそれに気づいた時にはもう手遅れだったのだ。
あたしの身体は千秋の腕の中だったから。
しかも今度は強く抱きしめられている。
泡の甘い匂いやあたしの身体についた千秋の家のボディソープの香りとか。
千秋の瞳や熱や吐息全てに目眩がしそうだった。
「やめてやるわけねぇだろ?」
「……ズルいよ! また騙すなんて!」
抵抗するあたしを無駄だとばかりに余裕の笑みで見ている。
暴れれば暴れる程泡が飛び散る。
「逃がさねぇよ?」
濡れた瞳で、あたしを捉えた。
「やめてって言ったけど、お前の場合、逆じゃねぇの?」
フッと微笑してみせる千秋。
逆……。
つまり、嫌じゃないって意味。
「そんなわけ……」
ないでしょって抗議してやるつもりだったのに……。