【番外編】苺みるくの秘密


生意気なわけじゃないよぉ……。

悪態つくのはあたしのせめてもの抵抗だった。



「次はどうしてほしい?」


あたしの濡れた髪の毛に指を絡ませて、くるくるともて遊ぶ。



「逆上せちゃうから……もう出たい……」


下手くそな言い訳だって自分でも思った。

そうでもしないと千秋の熱にあたしは溶けてしまいそうだった。



「ふーん」

「や、やだ……」


あたしの鎖骨を指先でなぞる。

ほんと心臓に悪すぎる……。

胸元が泡で隠れていることがせめてもの救いだ。

顔を真っ赤に染めるあたしとは対照的に、千秋は口元を緩めた。



「それが理由か?」


あたしの胸元ギリギリのところで指を離す千秋に、コクコクと何度も頷いた。



「だったら諦めろ。オレはまだ、お前が足りねぇんだよ?」


悩ましげな表情を浮かべて、吐息混じりの甘美な声で、濡れたブラウンの瞳を細めて囁いた……。

 

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