【番外編】苺みるくの秘密


「お前、力入れすぎ」


千秋の肩に爪をたてたせいで微かに切れてしまう。

白い千秋の肌にほんとにちょっとだけ血が滲む。



「ご……ごめん……」


あたしは慌ててお湯で流したのに千秋はそれを阻止すると、自分の肩をペロリと舐めた。



「今のお前、可愛かったから許してやる」


ドキンッと胸の奥が高鳴る。

いちいちそういうことを言わないでほしい。

冗談なのか本気なのか、からかってるのかわからない言葉に舞い上がってしまいそうになるから。



「なに、その顔?」


唇を曲げるあたしに千秋は聞いてくる。

だっていつも千秋はズルい。

あたしをその気にさせるようなことを言うし、嬉しいと思ってしまうことも言うから……。


あたしは何も答えず仏頂面を浮かべて千秋から離れた。

 

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