【番外編】苺みるくの秘密
終業式が終われば高校最後の夏休みに入る。
その少し前だった。
オレがアイツを呼び出したのは。
「いきなり呼び出してどういう風の吹き回しだ?」
「話があるからお前を呼んだ」
千秋がオレの部屋に来たのはすげぇ久しぶりだった。
こうやって向き合うのも、オレとは違う千秋の低い声をすぐそばで聞くのもだ。
「やけに真面目な顔してんだな? どうしたわけ?」
ドアの前に立ちながらオレを見る千秋は、こんな状況でも冷静だ。
それがオレの苛立ちを煽る。
「どうしたじゃねぇよ。わかってるクセにとぼけんなよ? シイのことだ」
好きな女のことで真面目になるのは当たり前だろうが。
「椎菜が、なに?」
千秋はきっとオレよりも真面目な顔をしてた。