My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
その時、車のドアが開いた。
「…何やってんの?」
「えっ!あ、いや…これは…」
男の人の声がして、さっきまでの男は、急に弱気になって慌ててあたしから離れた。
あたしはその男から逃げるように、開いたドアから外へ出た。
まだズキズキと痛むお腹。
「怖かった…」
しゃがみこんで、地面が滲んで見えるのがわかった。
「大丈夫?」
座ったままのあたしを、助けてくれたその人は、立ち上がらせようとしてくれた。
「っや…」
だけど、今のあたしは異性の手が触れただけで咄嗟に抵抗してしまう。
「あ…ごめん」
助けてくれたのに、謝らせてしまった。
「高瀬?」