My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
ベッドから起き上がって、ベランダのカーテンをがばっと開けた。
「……ほんとだ…。」
「気付かなかったの?」
「カーテン閉めっぱなしで…」
「閉めてても普通はわかるでしょ!」
窓を開けると、夕方の冷たい風が入ってくる。
「…昨日の歌番組、見たよ。」
美奈ちゃんの声のトーンが変わった。
「高瀬くんとは連絡とった?」
「……とってないよ」
「笑佳も見たんでしょ?」
「…うん」
「だったら、なおさら…」
「いいの。あたし、もう雄哉くんのこと諦めるから。
あんなにはっきり言われて、好きなんて言えないよ」
後ろ手に窓を閉めた。
「ほんとにそれでいいの?何も言わずに、このまま会わないで、後悔しない?」
複雑な想いが溢れ出しそうなあたしの瞳には、テーブルに置かれた1つの鍵が映った。
「美奈ちゃん、お願いがあるんだけど。」