My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
――電車を降りて、改札を通る。
1度の記憶の道をたどって、歩いていく。
さっきお願いして借りた、美奈ちゃんの弟さんのキャップを深くかぶり直した。
髪は、コンコルドで上げて帽子の中に。
だって雄哉くん家に行くのに、また写真とか撮られて騒がれたら、意味がないから。
雄哉くんのマンションについた。
エントランスを通り越して、ポストの前に立つ。
規則正しく並べられたポストと、それに記された部屋の番号たち。
その中の1つに、見慣れた苗字があった。
不思議だな…
ちょっと前までは、全然知らない名前だったのに。
気がつけば、メールして、電話して、2人だけで会うようにもなって。
それで、
雄哉くんのこと、
こんなに好きになっちゃった……。