My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
『高瀬』…って…
「あ、智也。」
高瀬と呼ばれた助けてくれた人のすぐ後ろに、一人の男の人が立っていた。
グラサン姿でもオーラみたいのを感じる、紛れもない本物の上野智也…くん。
「ん、何かあった…?」
その言葉に、高瀬って人が車ん中の男を軽蔑するように見た。
「こいつがっ」
そこまで言うと、上野智也くんはあたしのほうを見てきた。
ひどくはだけた制服。乱れた髪。
何があったのか、一目瞭然だった。
「高瀬、助手席にあるタオル取って?」
「うん」
「とりあえず、車ん中入ろ?」
上野智也くんが、あたしに向かって言った。
「早くあんたは降りろよ」
冷たい声で、その男に言う上野智也くん。
男が降りた後に、あたし達は車に乗り込んだ。
「はい、これ。」
高瀬くんが、タオルを差し出してきた。