My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
叫んだのは、里菜さんだった。
「……お願い……雄哉は殴らないで…。」
俯いたまま涙声で、たしかにそう言った。
里菜さん…ほんとに今も雄哉くんのこと……………
男は、渋々雄哉くんから手を放す。
「里菜、ごめん。」
それだけ言うと、雄哉くんはあたしの手を引っぱって歩き出した。
愛し方っていろいろあるけど、愛しい人を傷つける愛し方は、
自分が1番辛くないかな…
「えっ、雄哉くん?」
ファミレスも通り過ぎて、歩き続ける雄哉くん。
里菜さん達、置いて来ちゃって良かったんだろうか?
「待って…雄哉くんっ」
声をかけても、何も言わない。
「雄哉くん、速いよっ」
すると、雄哉くんが急にその場で立ち止まった。