My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
まさか…と思いつつも上野智也くんを見ると、その視線はあきらかにあたしに向けられていた。
「…あ、たしですか…?」
「もちろん」
びっくりして、すぐに返事ができない。
わ…
今、名前…あたし、聞かれてる…
「えと、川田笑佳…です。」
「川田さん。」
「あっ、はい。」
いきなり呼ばれて戸惑うあたし。
「何歳?高校生ぐらいに見えるけど」
今度は、高瀬くんから質問される。
「…17です。高校3年です。」
「そーなんだ~」
上野智也くんは、愛想よく相槌をうってくれた。
「家、どこ?送るよっ。千葉さんいいですよね?」
あたしに言った後に、運転席のスタッフさんらしき人に向かって、上野智也くんが言葉をかける。
「構わないですよ。」
千葉さんと呼ばれた人が頷いた。
「え、でも…」
「大丈夫っ。いいから。」
上野智也くんは、テレビで見るような笑顔で言った。