My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~

ブーッブーッブーッ。



そのとき、ポケットで携帯が震えた。



ブーッブーッ



見ると、雄哉くんからの電話だった。




今すぐ出たい。



だけど、今は授業中。


メールならともかく、電話に出るのはまずい。



どうしよう?


早くしないと、切れてしまう。





「ゴッホン……川田さん?」



真横で、大げさに咳払いをして名前を呼ばれた。



見上げると、眼鏡をかけた先生が、あたしの手の中で未だに震えている携帯を睨むように見ている。



「今は授業中です。あなた、この前も机の下で楽しそうに誰かとお話してましたよね?」




え………この展開、もしかして…





「没収します。放課後、職員室に取りに来なさい。」



先生は、あたしの手から携帯を取ると、授業を再開した。






ありえない…


あの先生、放課後に反省文書かされるんだっけ…




…って、今はそんな話してる場合じゃない。



結局、雄哉くんからの電話に出られなかった。


< 163 / 319 >

この作品をシェア

pagetop