My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
「だって、水中でいつまでも潜れて、あの海の中の綺麗なサンゴ礁とか、ずっと見ていられるんだよ。
あたしは、テレビでしか見たことないのに」
目の前を行き来する魚たちを見ながら、そう言った。
「笑佳ちゃんって、意外とそういうの好きなんだね」
「意外かな…」
「うん。でも俺は、魚じゃなくて、こっちで良かったよ。」
雄哉くんが、水槽を眺めながら話す。
「もし、この中の魚のどれかだったら、ガラス越しにしか笑佳のこと見れないじゃん。
こんなふうに手繋いで、笑佳の隣で一緒に話せない。」
…雄哉くん…
あたしが雄哉くんを見ると、雄哉くんもあたしをじっと見つめた。
青く薄暗い館内で、雄哉くんと見つめあう。
「笑佳」
「ん…」
「これ、やっぱ返す。」