My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
しばらくして、雄哉くんが閉じた携帯を持って、あたしの前に現れた。
さっきまでの笑顔は消え、なんだか複雑な表情を浮かべている。
「ごめん!なんか、番組の打ち合わせ、急に俺も参加しなきゃいけなくなったみたいだから…」
えっ………
「今から?」
「うん。まじでごめん」
「ううん、大丈夫だよ。」
そんなに謝られたら、そう言うしかない。
雄哉くんは、まだうかない顔をしながら、ジャケットに腕を通し始めた。
それを見て、あたしも鞄を手にする。
「一緒に出よっか」
「ん」
2人で玄関まで行くと、雄哉くんが、そっと抱きしめてきた。
「今度会うときにどこ行きたいか、考えといて?」
耳元で囁かれる言葉。
あたしは、雄哉くんと一緒にいられるだけでいいのに……。
「……うん」