My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
ふいに、下駄箱の上に重ねて置かれたファンレターが目に入った。
きっと、帰り際にマネージャーさんから渡されて、そのまま疲れててここに置いたんだ…。
「ファンレター。
それ読むと、すげぇ元気もらえんの。」
あたしの視線に気づいたのか、雄哉くんが少し目を細めて、そう言った。
「ファンのみんなのこと………
大切?」
ファンレターの束に目を向けたまま、呟くように言葉を放った。
「うん、大切だよ。」
あたしの胸の中には、今にも複雑な黒い感情が生まれてしまいそうで。
それを抑えるように、唇を噛みしめる。
「すげぇ大切。
俺が、こうして仕事できるのも、ファンのみんなのおかげだし。
そのみんなの応援にこたえるためだって考えると、忙しい時も頑張れんだよね。」
前にも見た雄哉くんの輝いた笑顔を見ると、やっぱりこの仕事が好きなんだと、痛いくらいに伝わってきた。
だけど………………。