My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
「…んで……」
「え?」
雄哉くんが、あたしのほうに顔を上げた。
「なんで……
そんなに、この仕事が好きなの?」
自分でも驚くほどに刺々しい口調。
いつもと違うあたしを見て、雄哉くんも少し目を丸くした。
それでも、続けるあたし。
「…だって……
雄哉くんの言うファンって、みんな勝手だよ?
きっと……自分が良ければそれでいいんだよ…」
今のあたしには、毎日のようにポストに入れられる真っ白な封筒だけが、脳裏に焼きついていた。
「笑佳…?」
「だって…雄哉くんは…お仕事の話する時しか1番の笑顔を見せてくれなくて……。
あたしといるときよりも、全然楽しそうで……。」
話が全然繋がっていないことは、自分でもわかった。
それでも…………
「あたしとお仕事、どっちが大事なの?」
1度、口を開くと止まらなくなった。
いろんなことが頭の中を巡って、
気がつけば、
つい最近、似たような言葉で聞き覚えのあった台詞を、
まさか一生言うことのないと思っていたその台詞を、
たった今、自ら発してしまった。