My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~

雄哉くん家のマンションを出て、とにかく走った。

無我夢中で、なんで自分がこんなに走ってるのかも考える余裕はなかった。



走りにくいパンプスでは、すぐに息が切れて、だんだんと足が止まる。


「……はぁっ」


大きく息をして、呼吸を整えたつもりだった。




立ち止まった途端、最後の雄哉くんの言葉が、何度も耳に響いてくる。




どっちが大事?なんて聞かれたら、普通の人なら重いって言うかもしれない。


だけど雄哉くんは、真剣に考えて答えてくれた。






その答えは、『選べない』だった。








それが本音だったからこそ、ショックで



雄哉くんにとって、今のお仕事がどれだけやりがいのあるものか、わかってるつもりだけど………












それでも、






重いって言われたほうが、まだましだった。






< 237 / 319 >

この作品をシェア

pagetop