My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
雄哉くん家のマンションを出て、とにかく走った。
無我夢中で、なんで自分がこんなに走ってるのかも考える余裕はなかった。
走りにくいパンプスでは、すぐに息が切れて、だんだんと足が止まる。
「……はぁっ」
大きく息をして、呼吸を整えたつもりだった。
立ち止まった途端、最後の雄哉くんの言葉が、何度も耳に響いてくる。
どっちが大事?なんて聞かれたら、普通の人なら重いって言うかもしれない。
だけど雄哉くんは、真剣に考えて答えてくれた。
その答えは、『選べない』だった。
それが本音だったからこそ、ショックで
雄哉くんにとって、今のお仕事がどれだけやりがいのあるものか、わかってるつもりだけど………
それでも、
重いって言われたほうが、まだましだった。