My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
「なんで…?
あたしのほうが雄哉のこと、愛してるんだよ?」
気がつけば、その女の子も涙を流している。
「気持ちは嬉しいけど、
それなら、そんなもの持つのやめよ?警察呼ぶよ。」
いつになく、強く厳しい口調の雄哉くんは、女の子をまっすぐに見つめた。
目の前の女の子も、雄哉くんを見つめ返す。
でも、その目はひどく哀しげだった。
「俺からのお願い。
いつも笑顔で、優しさの溢れるファンでいてください。」
そう言った雄哉くんが1番優しい笑顔だった。
「……ぅっ……っ…」
女の子はますます涙を流し、精一杯に声を押し殺している。
地面にハサミが落ちた音が、高く響いた。