My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~

「なんで…?

あたしのほうが雄哉のこと、愛してるんだよ?」


気がつけば、その女の子も涙を流している。




「気持ちは嬉しいけど、

それなら、そんなもの持つのやめよ?警察呼ぶよ。」



いつになく、強く厳しい口調の雄哉くんは、女の子をまっすぐに見つめた。



目の前の女の子も、雄哉くんを見つめ返す。


でも、その目はひどく哀しげだった。




「俺からのお願い。

いつも笑顔で、優しさの溢れるファンでいてください。」




そう言った雄哉くんが1番優しい笑顔だった。







「……ぅっ……っ…」



女の子はますます涙を流し、精一杯に声を押し殺している。







地面にハサミが落ちた音が、高く響いた。




< 242 / 319 >

この作品をシェア

pagetop