My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
「あ、電話…」
携帯の画面を見た瞬間、目を見開くあたし。
電話はお母さんからだけど、そんなことよりも驚いたのは、時間だった。
22時をとっくに過ぎている。
「出ないの?」
雄哉くんが、動きの止まったあたしに話しかけた。
「あ、うん。」
慌てて、通話ボタンを押した。
「もしもし…?」
「笑佳、遅くなるなら連絡しなさい?今、どこにいるの?」
お母さんの声。
「えっと…彼氏の家。」
「そう。じゃあ、泊まってくるのね」
「えっ?いや、それは…」
「たまには、うちにも泊まってもらえばいいのよ?」
「へっ!?」
「じゃあ、明日も学校あるんだから、ちゃんと行きなさいよ。」
「わかってるよ。てか、別に泊まるわけでは…」
「お母さん、今からお風呂入るから、もう切るよ?」
「え、あ…」
結局、誤解を解けないまま、電話が切れてしまった。
ちょっと待って!!
「どしたの?誰から?」
雄哉くんがあたしの顔を覗き込む。
「お母さんだけど…
なんか、あたしが今日は泊まってくって、勝手に勘違いしちゃって…。」
「いいじゃん。
泊まってけば?時間も遅いし。」