My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
早く学校、終わらないかな……
ふいに廊下から見えた中庭は、すごくいい天気で、気持ち良さそうで。
真ん中に植えられた大きな桜の木は、春になれば満開の花を咲かす。
だけど、
今は寒そうな枝が残ってるだけ。
でも窓を開けると、その景色より、外は予想以上に暖かくて。
あ。
今から雄哉くんに会いに行こう。
なんだか無性に、そう思った。
教室に戻って、鞄を手に取ると再び歩き出す。
「あれ?笑佳?」
絵梨に声をかけられ、あたしは笑顔だけ残して教室を出た。
歩きながら携帯を取り出して、アドレス帳の『た』を開く。
しばらくして、耳に響く機械音。
「――はい、もしもし。
笑佳?」
「うんっ――」