My Prince ~運命の出逢いは、アイドルと…~
風が吹いて、数枚の花びらがその風に乗り、舞ってきた。
あ……
………咲いてる…
ほんの少しだけど、
いくつか花びらが開いていた。
「笑佳。」
名前を呼ばれて、雄哉くんを見た。
雄哉くんがグラサンを外す。
「卒業おめでと」
軽く風になびいて
春の面影を感じる日差しの中で
あたしを見つめる雄哉くんが眩しくて
微かに目を細めた。
なんだか、どこか雰囲気が違うように見えるのは、この桜のせいかな…。
「笑佳。目、赤い。」
呟いて、あたしの髪を撫でた。
きっと、泣いちゃったからだ…。