マロンくんと秘密の手紙
1
ある朝のことでした。太陽がのぼり、窓から明るい日差しが差し込むころ、マロンくんはいつものように、目を覚ましました。寝起きのまぶたをこすりながら、窓を開けると、今日もとても気持のよい朝。窓の外には、森の木々たちの朝の体操が、さわさわと聞こえてきます。緑の香りを、深呼吸し、マロンくんは、朝食の準備の手伝いをしにいきました。キッチンに下りると、マロンくんのお母さんが、トーストを焼いて、野菜をきざんでいるところでした。
「お母さん、おはよう」
「今日も早いわね、マロン。そうだわ、まだお兄さんたち起きてきていないから、新聞をとってきてちょうだい。」
「はーい。」
マロンくんは、スキップしながら、玄関へ向かうと、ドアを開けて外にでました。新聞は、まだマロンくんが目を覚ます、ずっと早い頃-森や動物たちが、深い眠りについている頃-夜型のふくろうさんたちが、森の新聞を配達してくれます。新聞受けは、家の外にある新聞ポストに投函されていました。マロンくんは、新聞ポストにいき、新聞を取り、家に戻ろうとドアのノブに手をかけたとき、玄関の下に、一通の白い封筒が落ちているのに気付きました。
おやおや、これは、なんだろう。
マロンくんは、その真っ白な封筒を拾いました。表に宛名はありません。そして、裏をひっくり返すと、差出人も書いてありませんでした。ただ、封筒は、しっかりとノリ付けされていて、封はされていました。 ちょっと不信に思ったマロンくんは、何度か表裏を繰り返しみましたが、やはり、宛名も、差出人の名前もありませんでした。
何かの間違いかな。あとで、森の広場に行くとき、配達やさんに返してこよう。
マロンくんは、そっとその封筒をポケットにいれると、新聞を持って、キッチンへ向かいました。

 
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