マロンくんと秘密の手紙
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朝食を終えると、お母さんに頼まれた買い物をしに、森の広場へ行くことにしました。今日は、月一度に開かれる、バーゲンのせいか、たくさんのものが買い物リストに書いてありました。
パンに、野菜に、生活雑貨…。
多くの森の動物たちが、一斉に集まるこのバーゲンでは、たくさんの動物でにぎわいます。マロンくんは、歩きながらリストを読み、漏れがないように、気をつけながらお店を回りました。そうこうしているうちに、マロンくんは、ポケットに入れておいた白い封筒を届けることも、忘れてしまったようで、そのまま買い物を終えると、帰宅しました。

買い物をし終えて部屋で一息ついていると、ポケットから、白い封筒が落ちました。
届けるの、忘れちゃったなぁ。
窓を見ると、そろそろ夕暮れが近付いたのか、カラスがぱさぱさと飛んでいくのが見えました。
もう、夕方だから、明日届けよう。
マロンくんは、買い物で疲れたのか、そのまま、ごろんと床に寝転がりました。少しの間、まぶたを閉じ、そしてすぐに開け、白い封筒をみました。
封筒を手にし、軽く振りました。中で、かさかさと音がします。マロンくんは、思い立ったのか、封を開けてみることにしました。
封筒を開け逆さにすると、ぽとり、と茶色い種が、ひとつ落ちてきました。さらに封筒を振ってみると、二つ折りにたたまれた紙が、一枚出てきました。マロンくんは、種を手にし、窓の光にかざしました。特に特長のない、よく見る植物に種のようでした。そして、封筒の中に入っていた紙を広げました。
すると…。
“この種を、満月の夜、土に植えてください。”
とだけ、書かれていました。
それを読んだマロンくんは、首をかしげました。
宛名のない封筒で、しかも種と一言書いてある紙切れだけ。おかしな差出人です。首をかしげたものの、マロンくんは、この種がどうしても気になりました。そして、カレンダーをみると、満月の日は、なんと今日でした。
なんだかタイミングがいいや。よし、今夜植えてみよう。
こうしてマロンくんは、誰からもらったのかわからない、奇妙な種を植えることにしました。

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