マロンくんと秘密の手紙
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翌日。マロンくんは、朝起きると、窓からのぞきまず、ジョウロを持って外に出ました。水をやりながら、地面を見ましたが、まだ種は何も反応がありませんでした。
やっぱり、まだだめかぁ。
がっくり肩を落としていると、「おやマロン、何か育てているのかね」振り返ると、マロンくんのお父さんがやってきました。朝の仕事から帰ってきたようで、大きな荷物を抱えていました。
「う、うん。こないだ、友達からもらった種があって、植えたんだけど、全然芽がでないんだ。」
「おやおや、お前もお母さんに習って、家庭菜園をやりだしたのかと思ったよ、ワハハハ」
お父さんは、豪快に笑いました。
「植物はそのときの季節、気温、土、栄養状態によって、芽がでるタイミングも異なる。水を欠かさずやり、手をかけてあげれば、きっと発芽はするはずだ。あきらめずに、育てていくんだぞ」
「はい、お父さん」
では、ゴハンにでもするかな、と言うと、先に家へ入っていきました。マロンくんは、お父さんのアドバイスにほっとし、水をまたあげました。
その後、マロンくんは、あきらめずに、毎朝、学校に行く前と帰宅後に、水をあげ続けました。植えた種は、何の変化もないまま、1週間がすぎようとした、ある夜のことでした。夜の静けさが広がった頃、マロンくんはすっかり夢の世界へ旅に出ていました。今夜の夢は、マロンくんがよく行く、りんごの森でした。いつものように、森の中を走りながら、りんごを食べていると、そこに白い羽を持ったひとりの天使が現れました。
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