マロンくんと秘密の手紙

5

「こんにちは、マロンくん。」
その天使は、マロンくんの名前を言いました。
「こんにちは、天使さん。」
マロンくんは、不思議そうな顔をして目の前の天使を見つめました。どこかで会ったことのあるような、なつかしい雰囲気を持っていますが、どこで会ったのか思い出せませんでした。
「さあ、一緒に行きましょう」
そういうと天使さんは、ふわっと飛び立ちました。
「あ、待って!一緒に行くって、どこに…?!」
すると、マロンくんの体も浮かぶと、どんどん空へ向かって、吸い込まれるように浮かび始めました。
「わあ…」
眼下には、りんごの森の緑が一帯に覆われているのが見えます。そして遠くには、雲に隠れた大きな山が、わずかな煙を出すのが見えました。いつもは見られない景色に、感動していると、先ほどの天使が右側へ寄ってきていました。
「はじめまして、マロンくん。わたしリアラっていうの。いつもは、静かに過ごしているんだけど、今日は特別。マロンくんにどうしても見せたいものがあるから、こうして夢にお邪魔しちゃったわ。」
「見せたいものって?」
マロンくんが言うと、リアラさんは、マロンくんの手をとると、「一気にいくわよ!」と叫び、急降下しました。
「わあああああ」
マロンくんは、叫びながら、まぶたをとじ、ふっと意識が遠のきました。