マロンくんと秘密の手紙
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軽く揺さぶられて、目を覚ますと、リアラさんが目の前にいました。「目覚ましたようね。よかった~ちょっと勢いづいちゃって、ごめんね。」
リアラさんは、マロンくんの手をとり、体を起こしてくれました。
「ここは…どこ?」
マロンくんは周りを見回しました。森の中にいるようですが、背の高い針葉樹が立ち並び、空は白い光りで包まれています。また辺りは、音はないけれど、どこか心地良い音が聞こえてくるような気がしました。
「ここはね…あたしが住む場所―誰もこれない、秘密の場所。」
「どうしてこんなところに、僕が…?」
マロンくんは、首をかしげて尋ねました。
「マロンくん、あなたに見せたいものがあるっていったじゃない?それがここにあるの。―さぁ、こっちよ。」
リアラさんは、マロンくんの手を引くと、駆け出しました。マロンくんもつられて、駆け出します。走りながら吸い込む空気は、とても軽くそして甘いものでした。マロンくんは、とてもやすらかな気持に包まれるのを感じながら、走っていました。
「さあ、ここよ。これが、見せたかったもの」
「…わぁぁ。」
マロンくんが見たのは、大きな木に絡みつく、また別の木でした。絡み付いている樹木は太く、しっかりと巻きついていました。
「これは、豆の木だね。」
「そう、豆の木。この島では、伝説になっている豆の木だわ。」
リアラさんは、豆の木といわれている木に耳を当てました。
「こうして樹木に耳を当てると、樹木の鼓動が聞こえてくるの。とってもしっかりとした音が、ね。」
「伝説の木をこの目でみれるなんて…。」
マロンくんは、目を輝かせてつぶやきました。
「伝説の木はね、信じるものだけが近づける樹木なの。信じてくれたお礼に、その種は、信じたものだけに白い封筒に入って届けられるの。それは、受け取ったものにしかわからない、秘密の種。その種は、最初は芽がでないこともある。でも、信じた分、成長してくれるはずなの。― マロンくん、それだけ忘れないでね。」
マロンくんは、深呼吸し、そして、笑顔で言いました。
「うん、約束するよ。忘れないよ、ぼく。」
「ありがとう、マロンくん―」
そして、マロンくんは意識が薄れていきました。

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