2度目の夏祭り!
「……おいしい」
と言って、王子は涙をボロボロと流した。

「そ、そう?
  …おいしい?」

「うん、とっても」

なんで泣いてるの?

おいしいことはおいしいけど、泣くほどおいしいわけじゃない。ごくごく普通のチョコバナナだ。

王子の目から涙があふれる。夢中でチョコバナナを食べつづける。

口にいっぱいチョコレートをつけたまま、王子は子供のように笑った。笑いながら泣いた。そしてもう一度「おいしい」と言ってまたまた泣いた。

私はハンカチで王子の口のチョコをふいた。

ふいてから「しまった!」と思った。今夜は汗をかきまくったせいでハンカチがぬれていたのだ。

なんてことを! 汗まみれのハンカチで王子さまの口をふくなんて!

この場から走って逃げたい。でも走る体力が残ってない。

「僕たち
 つき合おう」
と王子が笑顔で言った。

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