私の秘密
新しい家
6年前。
もともと父がいない私。
母は、シングルマザーというヤツで弟と私を女手一人で養っていた。
生活もそれなりに安定してたし毎日が楽しかった。
けれど、そんな幸せも長くは続かなかった。
元々、体の弱かった母が病魔に襲われたのだ。
病名は進展性ガン。もう体の、あちこちにガンがあった。
まに会わなかった。
4年後母が亡くなった。
母の形見はいつも着けていた2つの指輪だけだった。
小さい時に「誰から貰ったの?」と聞くといつも同じ答えだった
「お母さんの1番大切な人に貰ったのよ。」
2つの指輪と私達を残して母は、天国に行ってしまった。
私と弟は2人だけになってしまった。
当時私は、10歳で弟は7歳。
母は一人っ子だから兄弟もいない。親も他界してしまったと言う。
身寄りのない私達は孤児院に入れられた。
「いつか20歳になって2人でここを出ようね。約束だよ。」
2人で約束をした。それだけが唯一の希望の光だった。
そんな光も失った。弟が東京に住んでいるという夫妻に引き取られたのだ。
優しそうな夫妻だったからよかった。
孤児院の先生に「最後にお別れはいいの?」と聞かれたから母の形見のもう一つの指輪をチェーンに通して首にかけてあげた。
「お姉ちゃん!約束しよう!!また、何処かで一緒に会おう!!約束だよ!!」
12歳になっていた私は分かっていた。もう会えない。ここは北海道。弟は東京。
けれど、弟との最後の約束。私は「うん、約束だよ。」と小さく呟いた。