私の秘密
弟が引き取られて1年後。
私も引き取られた。
引き取ってくれたのは、男の人。父親のことを知らない私はどう接していいか分からない。顔もまともに見れないくらいだ。
「これから宜しくね、朱里(シュリ)ちゃん。俺は独身だから妻もいないし子供も居ないからどう接していいか分からないけど・・・。」
アハハと笑っている。
私はとても笑う気にはなれなかった
「そうだ!まだ俺の名前言って無かったよね。俺は天宮来斗って言うんだ。」
この人は天宮来斗(アマミヤ・ライト)さんと言うらしい。
私は今日から天宮朱里(アマミヤ・シュリ)になるのか。
なんか不安・・・・・・・。
「・・・。ねえ、朱里ちゃん、お母さんが亡くなって辛かったよね?でも、もう朱里ちゃんには俺が居るんだからそんな辛い顔しないで・・・ね?もう、甘えていいんだよ。」
来斗さんの声が心に響いた。
そうだ・・・私には新しい家族が出来たんだ。
視界が涙でかすんできた。
お母さんが亡くなって以来乾いていたと思っていた涙で・・・。
「・・ありがとう・・・。ございます・・来斗さん・・・。」
鼻声混じりの声で精一杯の気持ちを伝えた。
「えっ!朱里ちゃん!!俺なんか朱里ちゃんを傷付けるような事いった!?」
泣いてる私を見てオロオロしている来斗さん。
困り果てた末に私の頭をポンポンと撫でてくれた。
「本当に、甘えていいんだよ朱里ちゃん・・・。」
私は泣き疲れて寝てしまった。