【連作】半熟騎士の自由帳 Page1
彼は、こちらの返事を待つスティフに、胸の前で手を振ってみせる。

「俺は、甘いものは……」

正直、この部屋に充満しつつある香りですら、多少辟易しているのだ。

眉を寄せるバートに、二つ下の少年は、小さく肩を落とし、

「そうですか……それは残念です」

赤々と燃える火箸の先にグレイズの実を挟み、手にした深皿の上に綺麗に並べていく。
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