ボーダーライン
俺たちはとりあえず真紀が寝るためのマットなどを買いに出かけた。
ただでさえ長身の真紀はサンダルのヒールも高くて、横に並ぶと俺と同じくらいの身長になる。
小柄な女がタイプの俺は自分に言い聞かせる。
こいつを女だとは思うな。
女だが、そういう対象ではないぞ、と。
やってきたのは最寄駅前の大型スーパー。
二階の寝具コーナーへ行くと、なかなかの値段に二人でビビる。
「もっとさ、薄っぺらいのでいいのよ。ジャマでしょ?」
「ジャマっつったって、ペラペラすぎても眠れないだろ」
あれでもないこれでもないと寝具を漁ったが、折り合いがつくものは見つからない。
とりあえずこれから1ヶ月眠れればいいのだが、寝具コーナーには何年も使えそうな立派な商品しか置いていない。
「いっそのこと一緒に寝ようよ」
「嫌だ。俺襲われるもん」
さっきの首筋の感覚を思い出し、また鳥肌が立つ。
「失礼なヤツね。鳥肌まで立てないでよ」
バシッと頭を小突かれた。