ボーダーライン
面接に備えてだろうか。
ボストンバッグから何か棒のような機械とスプレー、ワックス、そして櫛を取り出した。
「何これ?」
棒のような機械を指すと、真紀は知らないの? と驚いたような声をあげた。
髪をどうにかする物だということくらいはわかる。
「コテだよ。これで髪を巻くの」
コンセントにプラグを挿し、スイッチを入れる。
赤いランプが点滅している。
「ここ、握っといてみ?」
言われたとおり棒の銀色の部分を握った。
徐々に暖かくなっているのがわかる。
「あちっ」
「ずっと握ってると火傷するよ」
「じゃあ握らせんなよ」
鏡をテーブルに立て、ヘアクリップで髪をいくつかに分けている。
ミスト系のスプレーを髪にかけて、コテと呼ばれたそれで髪を挟んだ。
「こうやって使うんだよ」
挟んだ髪をくるくるとコテに巻きつける。
そのまま十秒くらいだろうか。
挟んで巻きつけていた髪を開放した。