ボーダーライン

 面接に備えてだろうか。

 ボストンバッグから何か棒のような機械とスプレー、ワックス、そして櫛を取り出した。

「何これ?」

 棒のような機械を指すと、真紀は知らないの? と驚いたような声をあげた。

 髪をどうにかする物だということくらいはわかる。

「コテだよ。これで髪を巻くの」

 コンセントにプラグを挿し、スイッチを入れる。

 赤いランプが点滅している。

「ここ、握っといてみ?」

 言われたとおり棒の銀色の部分を握った。

 徐々に暖かくなっているのがわかる。

「あちっ」

「ずっと握ってると火傷するよ」

「じゃあ握らせんなよ」

 鏡をテーブルに立て、ヘアクリップで髪をいくつかに分けている。

 ミスト系のスプレーを髪にかけて、コテと呼ばれたそれで髪を挟んだ。

「こうやって使うんだよ」

 挟んだ髪をくるくるとコテに巻きつける。

 そのまま十秒くらいだろうか。

 挟んで巻きつけていた髪を開放した。

< 15 / 82 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop