ボーダーライン

「す、すげー」

 その部分だけ美しくカールがかかっている。

 カールをかけるにはパーマしかないと思っていた俺にとって、それはかなり斬新なアイテムだった。

「コテすげー」

 そんな俺を見て真紀はケラケラと笑っていた。

 その後も器用にくるくると巻いていって、上手にスタイリングしていく。

 ストレートの髪は次第に華やかさを増していった。

 短髪だった高校生の面影は、もうない。

 頭のてっぺんの髪を持ち上げて、同じようにクルっと巻く。

 その部分にワックスをつけたと思いきや、思いっきり櫛でぐちゃぐちゃにし始めた。

「おい、何やってんだよ」

 せっかくキレイに巻けていたのに。

 なんだかもったいない。

「逆毛だよ」

「サカゲ?」

 ぐちゃぐちゃにした髪の表面を、今度は櫛で撫で始める。

 もっこりと、小高い丘が出来た。

「逆毛を立てて、こうやって。これが“盛り”だよ」


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