ボーダーライン
真紀はちゃんと服を来て脱衣所から出てきた。
髪も乾かして、準備は万端だ。
「何借りてきたの?」
「ホラー」
俺が答えると、真紀の顔が固まった。
「マジ?」
そして俺のベッドに飛び乗り、タオルケットにくるまる。
「あたしホラー苦手なの」
「え? 見るの止める?」
真紀は首を横に振った。
「見る。でも、怖くなったら潜って見えないようにする」
意外だった。
肝っ玉据わってそうな真紀が、実はホラーが苦手だなんて。
ここぞとばかりに笑い飛ばしてやった。
俺は茣蓙に座り、スナック菓子を開けてDVDを再生。
真紀はビビッている顔のまま、画面に目を向けていた。
ビクッとしたり、息を飲んだり、後ろから聞こえる真紀の反応が可笑しかった。
そして俺でも息を飲むようなシーンの時。
「ちょっとストップ、一旦ストップ!!」