ボーダーライン
俺のタオルケットを頭巾のようにかぶっている真紀が、一時停止させる。
「何だよ。いいとこなのに」
「一旦落ち着かせて」
そう言ってすっぽりタオルケットで頭を覆い、深呼吸をする音が聞こえた。
泣きそうな顔しちゃって。
可愛いやつめ。
「よし、落ち着いた」
少しだけ顔を出した真紀の合図により、再生再開――。
その映画のエンドロールの時、振り返ると真紀はぐったりと寝そべり額に汗をかいていた。
せっかくシャワーを浴びたのに、もったいない。
エアコンだって効いてるのに。
DVDを停止すると、深夜バラエティの賑やかな音が部屋に広がった。
映画の余韻を感じられないので、すぐにテレビの電源を切る。
「さ、寝るぞ」
「うん……」
真紀はのそのそと起き上がって茣蓙に降りた。
変わりに俺がベッドへ上がる。
真紀の体温を吸ったベッドが熱い。
明かりを消し、それぞれが寝転がる。
俺はさっきの映画の怖さを噛み締めながら目を閉じた。