ボーダーライン
「え? それ一週間分?」
「そうだよ」
銀行員のように手際よく札束を数え始める。
いち、に、さん、し……じゅうよん。
じゅうよん。
十四?
「十四万?」
「そうみたい」
言いながら細長い給与明細を見ている。
その他英世や樋口さんは省略。
ちょっと待て。
一週間分の給料、俺の一か月分より多いんですけど。
本棚に置いてある封筒を見た。
あの中の七人の諭吉、やっぱりありがたく頂こうか……。
「なんか俺、惨めな気持ちになってきた」
「あはは、そうなるよね」
トントン、と諭吉を整列させ、封筒へ戻す。
英世と樋口さんは自分の財布の中へ入れた。
この調子なら引越し代くらい一月で稼げそうだ。
「頑張ってるもん。今のうちに稼いどかなきゃ。学校始まると週六フル出勤はキツいからね」
「が、頑張れよ」
「ありがと」