ボーダーライン

「とりあえず、入れよ」

 真紀はうん、と頷いてやっと靴を脱ぎ、俺の後から部屋へ入ってきた。

 バッグを下ろし、今度は茣蓙にへたり込む。

 俺はベッドへ腰掛け、様子を伺った。

 声をかけようにも何を言っていいかわからなかった。

「シャワー行ってくるね」

「おう」

 アクセサリーや付けまつげを外し、バスタオルだけを抱えて風呂へと向かう。

 着替えを持って行ってないことに気付いていたが、あんなに怯えた表情をした真紀には言えなかった。

 テレビにはゲームの画面が寂しく映し出されている。

 今この状況で続きをやる気にもなれず、俺はセーブをしてプレステの電源を切った。

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