ボーダーライン
すぐに脱衣所から出てきた真紀。
バスタオルを干し、再び俺の隣に座る。
直に見るのが怖くて、ランプの光が照らす真紀をテレビ越しにうかがう。
色気のないTシャツと短パンにホッとした。
でもだからといってさっきの興奮はそう簡単に覚めてくれない。
「良平、好きな子いるの?」
「うん、まあ、一応」
「どんな子?」
「バイト先の子だよ。ふんわりした感じ」
「ふーん。うまく行きそう?」
「いや、男いるし」
「そっか。人の女には手を出さない主義だもんね」
「そういうこと」
突然真紀がランプの火を消した。
蓋を閉める音がして、かすかにオイルの独特の匂いが鼻を掠めた。
背もたれにしている俺のベッドが揺れて、真紀がそこに座ったことがわかる。
だんだん目が暗さに慣れてきたところで、俺もベッドに腰掛けた。
ふと手が触れ合った。
自然にきゅっと握り合う。
「良平が、全部奪ってくれたら良いのに」