ボーダーライン
「迫戸君、ヤケ酒付き合って」
俺は頷き、バイト後に二人で飲みに行くことになった。
休憩時間に真紀にメールを打っておく。
<今日は飲みに行ってくる>
数分後、返信があった。
<了解! 楽しんでこいよっ★>
今日のバイトはやけに長く感じた。
吉田さんと同じ0時にバイトを上がり、準備に多少時間のかかる彼女を待つ。
待つのには慣れた。
真紀のおかげだ。
「お待たせ」
吉田さんは真紀みたいにビシッとキメた格好はしない。
今日もふわっとした可愛らしい服装だ。
髪もセミロングに緩いパーマがかけてあり、穏やかな印象を受ける。
小柄で、声も高くて、そこにいるだけで「守ってあげたくなる」タイプの子。
真紀とは正反対だ。
バイト先から程近い居酒屋に入り、ボックス席に座る。
吊り下げられた照明に照らされて、吉田さんのまつ毛の陰が綺麗に目の下に写っている。
かわいいなぁ。
こんなアングルでまじまじと見たことがなかった。