ボーダーライン

 翌日、真紀は昼間から出かけていった。

 行き先も言わずにちょっと出かけると言って。

 俺は真紀が出た後に大学の友達からメールが来て、彼らと遊びに出かけた。

 よく晴れている。

 じりじりと肌を刺激する太陽。

 大きなトラックがいるなと思ったら、一階の部屋から誰かが引っ越しているようだった。

 トラックの影がありがたい。

 飲んで騒いで終電で帰ってきたら、当然仕事に出かけている真紀はいない。

 シャワーを浴びて部屋に戻ると、オイルが半分に減ってしまったランプの下に何か紙のようなものが何枚か敷いてあった。

 ○○駅徒歩13分
 家賃6万7千円
 1K

 不動産情報。

 今日出かけていたのはどうやら部屋探しらしい。

 同じような紙は三枚ほどあった。

 少しだけ狭くなり、女の匂いがするようになったこの部屋。

 ボストンバッグにダンボール。

 そして、真紀。

 すっかり俺の生活に定着してしまっているものは、もうすぐなくなる。

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