ボーダーライン

 真紀はテレビや冷蔵庫、そして電子レンジを眺めては、目星をつけて情報を携帯にメモしていく。

「引越しシーズンだったら、セットみたいなのもあるのにね」

 なんて不満を垂れながら。

 真剣に選んでいる様子を見て不思議な気持ちになる。

 真紀はうちを出るんだな。

 だんだん実感してきた。

「大型の家電はやっぱり高いね。中古屋さんで買おうかな」

「やめとけ。メーカー保証が効かないだろ」

「あー、そっかー」

 真紀はどんなところに住むのだろう。

 また彼氏ができたらその部屋を飛び出したりするのだろうか。

 前はどこかの下宿で暮らしてて、夜の仕事を始めたら門限に間に合わなくなって追い出されたと言ってたな。

 電気屋を出ると、もう夕方だった。

 俺たちはファミレスで軽く飯を食い、それぞれバイト先へと向かった。

「お疲れっす」

 バイト先に到着すると、店長がまたニヤけていた。

 嫌な予感がする。

「迫戸。俺は見たぞ」

「高校の同級生っすか?」


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