ボーダーライン
次の日、中学時代の同級生とドライブをしていると、携帯が鳴り出した。
真紀だ。
後部座席に座っていた俺は、ちょっとごめん、と言って電話に出る。
「あ、良平? 今大丈夫?」
「うん。少しなら」
「そっか。無事引越し終わったんだ」
「そうか、お疲れさん」
「ダンボールも運んだし、鍵は新聞受けに入れとけばいい?」
「うん。そうして」
「了解。じゃ、一ヶ月お世話になりました」
「おう、またな」
電話を切る。
通話時間は一分にも満たなかった。
俺の知らぬ間に、引越しが終わった。
合鍵は新聞受けから俺の部屋に入れるという。
真紀との共同生活は俺の居ぬ間に終了した。
あの部屋に買えったら、俺は独りだ。