ボーダーライン
観念したのか、ため息をついて封筒をテーブルに置いた。
「じゃ、ありがたく頂いて、今度誰かと美味しい物食べる」
「そうしとけ」
真紀が頷いて、部屋はまた静かになった。
二人の息づかいと、自分の心臓の音しか聞こえない。
ふと肩に何かが乗ったと思ったら、真紀の頭だった。
顔を向ければ真紀もこちらを向いている。
顔が、近い。
もっと近づくのを止められない。
「ねえ、さっきのあれ、何?」
「聞くなよ。俺にもわからな……」
最後まで言えなかったのは、近づきすぎて距離がなくなってしまったからだ。
数秒そうして顔を離すと、真紀が小さな声で言った。
「やめないで」
俺は返事の変わりに、もう一度口付けた。