キミのとなり。
「はよー」


すっかり目を覚まして準備の出来た智明がリビングに入ってきた。


「……千鶴は?」

「それがまだなの。智明、ちょっと様子見てきてくれない?」


不安そうな表情で、美佳さんは長谷川家の合鍵を智明に手渡した。


一瞬眉を寄せて渋い顔をした智明は鍵を受け取ると、何も言わずに出て行った。





「今日、早く帰んの?」

「そのつもり」


──智明と2人、電車に揺られていた。


千鶴は案の定と言っていいのか、熱があるらしく今日は学校を休むことになった。


昼間は美佳さんが看てくれるらしい。



「風邪でも引いたのかな?」

「そうじゃね?」


朝の電車の中では、俺と千鶴が話してて智明は寝てることが多いから、智明と2人ってのは……なんか不思議な感じがする。


しかも、今日はいつも以上に視線を感じるし。



「なぁ」

声をかけられて智明は、つり革に寄り掛かるように掴まって、俺を横目で見た。


「ん?」

「俺が千鶴に告るっていったら、お前どうする?」


智明は一瞬目を大きくしたけど、

「……言うのはお前の勝手だろ」

と、視線をそらした。



「それは……してもいいってこと?」
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