キミのとなり。
重なるキモチ<千鶴>
……ねぇ、トモ?
その女の子──誰?
私からすこし離れた位置に立っているトモと。
ぴったりと寄り添ってトモを見上げる、私の知らない女の子。
トモは寄り添った女の子を愛しそうに見つめ、そっと肩を抱き寄せた。
やだ……。
やめてよ……。
なんで……?
駆け寄りたいのに、その場に貼り付いてしまったみたいにまるで動かない私の足。
女の子は少し背伸びをして、トモの耳元に唇を寄せた。
トモもそれに応えるように体を屈める。
女の子が何かを囁き、2人で顔を見合わせて微笑みあうと……。
私に背中を向けて歩き出した。
えっ……待って。
行かないで──!
「……づるっ!」
ハッと目を開けると、見慣れた天井があって……。
「どうした? 大丈夫か?」
「……モ……?」
心配そうに私を見つめる制服姿のトモがいた。
「どうした? 苦しいのか?」
そう言って頬を撫でられて初めて、自分の頬が濡れていることに気づいた。
「私……泣いて……」
「どっか痛いのか? それとも、ヘンな夢でも見た?」