キミのとなり。
「わかったから……とりあえず着替えろよ。な?」


なだめるような優しい口調のトモだけど。


私は、子供のようにただ首を横に振った。


「行かないで……傍にいて……」

シャツを掴んだ手に力を込めた。


大丈夫だってわかってる自分もいるのに、こんなに不安になるのは……やっぱり夢のせい?




「千鶴」

トモは、きつくシャツを握り締めている私の手に、そっと自分の手を重ねた。


「ドアのすぐ外にいるから。呼べばすぐ来るから。……な?」

「……やだ……」


頬が熱くて、さっき止まったはずの涙がまた溢れてくる。


「じゃあ……俺が着替えさせようか?」

トモはそう言うと、ニヤリと唇の端を持ち上げた。


多分、そう言えば私が大人しく着替えると思ったんだろうけど……。




「──いいよ」

「っ!?」


案の定、そう答えた私より、言ったトモの方が驚いた顔をした。


「パジャマ、新しいの出すね……」


足を床に下ろして立ち上がろうとした瞬間、体がふらっとしてそのままトモに倒れ込んでしまった。
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