キミのとなり。

重なるキモチ<千鶴>



「今日から直人さん、三日間出張なんだって」



風邪もすっかり治ったある朝、トモの食事の用意をしながら美佳ちゃんが言った。


「そうなんだ。直人くん、相変わらず忙しそうだね」

今日も美佳ちゃんが用意してくれたおいしい朝食を食べ終えて、片付けをしながら私はのんきに答えた。


……直人くんを見たのは、先週だっけ。


修ちゃんはコーヒーを飲みながら新聞を読んでいて、トモはさっき起きたばっかりだ。



「でね」

「ん?」

「私、今日はこれから椎名の家に帰らなきゃいけないの」


「……え? 急に……どうかしたの?」


それを聞いて修ちゃんは新聞から顔を上げた。


「おばあちゃんの調子があまり良くないらしいの。大したことはないみたいだけど、一応様子を見てこようと思って……」


……そうなんだ。


椎名の田舎には小さい頃に行ったきりだけど、おばあちゃんには優しくしてもらった思い出がある。



「一泊のつもりだけど、ちーちゃんのことも併せて二人とも、留守をお願いね」

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