キミのとなり。

午後から来た遊園地。


満喫、とまではいかなかったけど、短い時間のわりには十分楽しんだ。



「最後はあれでしょ」

私がそう言って指さしたのは、お決まりの観覧車。


夕暮れの時間はもう過ぎちゃったけど、夜は夜できっとネオンがきれいなはず。


「俺でいいの?」

「……どういう意味?」


修ちゃんと来てるのに、他に誰と乗れって……。


「いや、なんでもない。行こう」


修ちゃんは一瞬考えたような顔をしたけど、すぐいつもの笑顔になった。


乗り物に乗っている時以外、ずっと繋がれた手。


修ちゃんの手は、暖かい……。



1周15分くらいある、この辺りでは一番大きな観覧車。


「お次の方ー」


順番がやって来て、係員さんに案内された。


「千鶴」


先に乗り込んだ修ちゃんが繋がれたままの手を引いた。


「優しい彼氏さんですね。ではごゆっくりどうぞー」


営業スマイルの係員さんがそう言ってドアを閉めた。
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